樋口一葉の世界にようこそ  ここには樋口一葉の文学を知る上で貴重な作品が多数収録されています。 是非ご覧になり貴重な一様文学の神髄をお楽しみ下さい。
 ホーム 謝辞 関連リンク

www.bungaku.sakura.ne.jp/ichiyo/

収録作品
【1892年】
うもれ木
たま襷
闇櫻
五月雨
別れ霜
經つくえ
【1893年】
暁月夜
琴の音
雪の日
【1894年】
暗夜
花ごもり
大つごもり
【1895年】
うつせみ
たけくらべ
にごりえ
ゆく雲
雨の夜
月の夜
軒もる月
十三夜
【1896年】
あきあはせ
うらむらさき
この子
すゞろごと
わかれ道
われから
反古しらべ
さをのしづく




 

総ページ数 1

 この子
 樋口一葉
 
 
  くちしてわたしわが可愛かあいいといふことまをしたら、さぞ皆様みなさま大笑おほわらひをあそばしましやう、それは何方どなただからとて我子わがこにくいはありませぬもの、とりたてゝなに自分じぶんばかり美事みごとたからを持つてるやうにほこがほまをすことの可笑をかしいをおわらひにりましやう、だからわたしくちして其様そん仰山ぎやうさんらしいことひませぬけれど、こゝろのうちではほんに/\可愛かあいいのにくいのではありませぬ、あはせてをがまぬばかりかたじけけないとおもふてりまする。
  わたし此子このこはゞわたしためまもがみで、此様こん可愛かあい笑顔えがほをして、無心むしんあそびをしてますけれど、この無心むしん笑顔えがほわたしをしへてれましたこと大層たいそうなは、のこりなくくちにはくされませぬ、學校がくかうみました書物しよもつ教師けうしからかしてれましたさま/\”々のことは、それはたしかにわたしためにもなり、ことあるごとおもしてはあゝでつた、うでつたといち/\々顧かへりみられまするけれど、此子このこ笑顔ゑがほのやうにに、眼前まのあたり、かけあしとゞめたり、くるこゝろしづめたはありませぬ、此子このこなん小豆枕あづきまくらをして、兩手りやうてかたのそばへ投出なげだして寝入ねいつてとき其顔そのかほといふものは、大學者だいがくしやさまがつむりうへから大聲おほごゑ異見いけんをしてくださるとはちがふて、しんからそこからすほどのなみだがこぼれて、いかに強情がうじやうまんのわたしでも、子供こどもなんぞちつとも可愛かあいくはありませんと威張ゐばつたことはれませんかつた。
  昨年さくねんくれおしつまつてから産聲うぶごゑをあげて、はじめてこのあかかほせてれましたときわたしはまだその時分じぶん宇宙うちうまよふやうな心持こゝろもちたものですから、いまおもふとなさけないのではりますけれど、あゝ何故なぜ丈夫じやうぶうまれてれたらう、おまへさへなくなつてれたならわたし肥立ひだち次第しだい實家じつかかへつて仕舞しまふのに、こんな旦那だんなさまのおそばなにかに一時いつときやしないのに、何故なぜまあ丈夫じやうぶうまれてれたらう、いやだ、いやだ、うしてもこのえんにつながれて、これからの永世ながらくひかりもうちくらすのかしら、いやことの、なさけないこのやうなことおもふて、ひとはお目出めでたうとふてれてもわたしすこしもうれしいとはおもはず、たゞ/\々白分じぶん次第しだいつまらなくなるをばかりかなしいことおもひました。
  それですが時分じぶんわたし地位ちゐほかひといて御覧ごらんじろ、それはんなあきらめのよいさとつたおかたにしたところが、是非ぜひ此世このよなかつまらない面白おもしろくないもので、随分ずゐぶんともひどい、つれない、天道様てんだうさまかなどゝいふことが、わたし生意氣なまいきこゝろからばかりではありますまい、かならず、屹度きつと何方どなたのおくちからもれずにはりますまい、わたし自分じぶんすこしもわることい、間違まちがつたことはしてないとめてりましたから、すべての衝突しようとつ旦那だんなさまのおこゝろひとつからおここととして仕舞しまつて、遮二しやに旦那だんなさまをうらみました、またういふ旦那だんなさまをわざたてゝわたし一生いつしやうくるしませてくださるかとおもふと實家じつかおや、まあおやです、それはおんのある伯父をぢさまですけれども其人そのひとことうらめしいとおもひまするし、第一だいいちをかしたつみわたしひとふなりおとしう嫁入よめいつてわたしを、白然しぜん此様こんうんこしらへていて、盲者めくらたにつきおとすやうなことあそばす、神様かみさまといふのですかなんですか、其方そのかたじつうらめしい、だからこのいやなものとめました。
  けないといふはいゝことで、あれでくてはむづかしいことりのけるわけにはかぬ、ぐにや/\やはらかい根性こんじやうばかりでは何時いつひと海鼠なまこのやうだとおつしやるおかたもありまするけれど、それもとき場合ばあひによつたもので、のべつに勝氣かちき振廻ふりまはしてもりますまい、そのうちにもをんな勝氣かちきなかへつゝんで諸事しよじ心得こゝろえたらいかもれませぬけれど、わたしのやうなおもてむきのけるぎらひはひとからはあさましくもありましやう、つまらぬつまつたものだといふかん良人をつとはうかへつておほくあつたので御座ござりましやう、で御座ございますけれどわたし其時そのとき自分じぶんかへりみかんがへはませぬゆゑ、良人をつとのこゝろをさつすること出來できませぬ、いやかほあそばせば、それがさはりまするし、小言こごとひとつもはれましやうならのやうにつてはらたゝしく、言葉ことばがへしはつひしかませんかつたけれど、ものはずものべず、随分ずゐぶん婢女をんなどもにはあたりもして、一日いちにちとこいてふせつてこと一度いちど二度にどでは御座ござりませぬ、わたし泣虫なきむし御座ございますから、その強情がうじやう割合わりあひ腑甲斐ふがひないほど抱巻かいまきえりくひついてきました、たゞ/\》々口惜くやなみだなので、勝氣かちきのさせる口惜くやなみだなのでした。
  嫁入よめいつたは三年さんねんまへその當座たうざごくなかもよう御座ございましたし雙方さうはう苦情くじやうかつたので御座ございますけれど、れるといふはことわることで、おたがわがまゝのまゐります、諸欲しよよくくほどまゐりますから、それは/\不足ふそくだらけで、それにわたし生意氣なまいきですものだからつひ/\こゝろやすだてに旦那だんなさまがそとあそばすことにまでくちして、うも貴郎あなたわたしにかくしだてあそばして、そとことといふとすこしもかせてくださらぬ、それはおへだこゝろだとつてうらみますると、なにそんな水臭みづくさことはしない、なにかせるではないかとおつしやつて相手あいてにせずにわらつていらつしやるのです、あり/\かくしてお出遊いであそばすのはえすいてりますし、さあわたしこゝろはたまりません、ひとつをうたがすととう二十にじふうたがはしくなつて、朝夕旦暮あけくれ/\あれまたあんなうそおもふやうになり、なんだか其處そこ可笑をかしくこぐらかりまして、うしても上手じやうずおもひとくこと出來できませんかつた、いまおもふてるとるほどかくしだてもあそばしましたらう、なんつてもをんなですものくちはやいにつておつときのことなどははなしておかせくださるわけにはきますまい、げんいまでもかくしていらつしやることおびたゞしくあります、それは承知しようちで、たしかに左様さうつてりまするけれどいますこしもうらことをいたしません、なるほど此話このはなししをかしてくださらぬが旦那だんなさま價値しんしやうで、あれぐらひわたしいてもうらんでも取合とりあつてくださらなかつたは旦那様さんなさまのおえらいので、あの時代じだいのやうな蓮葉はすはわたし萬一まんいち役所やくしよことでもかしてくださらうなら、どのやうのつまらぬこと仕出來しでかすか、それでなくてさへ随分ずいぶん出入でいりものなどをりて、わたしもとまであやしいつかものなどをよこして、ういふ事情じじやうひど難儀なんぎをしてります、この裁判さいばん判決はんけつ次第しだい生死しやうしりますなどゝつて、原告げんこくだの被告ひこくだのといふひとたのんでたもおほくあつたれど、それをわたし一切いつさい受附うけつけなかつたは、山口昇やまぐちのぼるといふ裁判官さいばんかんつまとして、公明こうせい正大せいだいことわつたのではく、家内うち/\もめるにそのやうのこと餘地よちもなく、つて面白おもしろくない御挨ごあいさつくよりかだまつてはうがよつぽど洒落しやれるといふくらゐかんがへで、さいはひにわいけがれはけないでんだけれど、へだては次第しだいかさなるばかり、雲霧くもきりがだんだんとふかくなつて、おたがひのこゝろわからないものにりました、いまおもへばそれはわたしから仕向しむけたので、わたし仕様しやうわるかつたに相違さうゐ旦那様だんなさまのおこゝろ何時いつとはしにぐれさせましたはわたしこゝろかたちがつたゆゑいまではつく/\”後悔こうくわいなみだがこぼれまする。
  絶頂ぜつちやうなかわるかつたときは、二人ふたりともにそむそむきで、そとへいらつしやるに何處どこへとふたことければ、行先ゆくさきをいひかれることい、お留守るす他處よそからお使つかひがれば、どんな大至急さいしきふ要用えうようでもふうといふをつたことく、つまとは木偶でくがお留守居るすゐしてるやうに受取うけとり一通いつゝう追拂おひはらつて、それは冷淡れいたんげていたものなれば、旦那だんなさまの御立腹ごりつぷくはでものこと、はじめは小言こごとおつしやつたり、異見いけんあそばしたり、さとしたり、なぐさめたりあそばしたのなれど、いかにもわたし強情がうじやうふかく、かくしだてをあそばすといふをたてつて、ちつとやそつとのやさしい言葉ことばぐらゐではうごきさうにもなく執拗すねぬきしほどに、旦那だんなさまあきれてをばたまふ、まだ家内うち/\言葉ことばあらそひのるうちはよきなれども、物言ものいはずにらふやうにりては、屋根やねあり、天井てんじやうあり、かべのあるとふばかり、野宿のじゆくつゆあはれさにまさつて、それはつめたいなさけない、こぼれるなみだこほらぬは不思議ふしぎ御座ござります。
   おもへばひと自分じぶん勝手かつてなもので、よいときには何事なにごとおもしもりませぬけれど、くるしいの、いやのとときかぎつて、以前いぜんあつたことか、これからむかへることについてか、大層たいそうよさゝうな、立派りつぱさうな、結構けつこうらしい、ことばかりおもひます、左様さういふことおもふにつけて現在げんざいありさまがいやいやで、うかして此中このなかをのがれたい、このきづなちたい、此處こゝさへはなれてつたならばんなうつくしくところられるかと、ういふこと是非ぜひともかんがへます、で御座ございますから、わたし矢張やつぱりそのとほりのゆめにうかれて、此様こん不運ふうんをはるべきが天縁てんえんではい、嫁入よめいりせぬ以前いぜん、まだ小室こむろ養女やうじよ實子じつしつたときに、いろ/\のひと世話せわをしてれて、いろ/\々のくち/\”々をまをんでれた、なかには海軍かいぐん潮田うしほだといふ立派りつぱかたもあつたし、醫學士いがくし細井ほそゐといふ色白いろじろひとにもまりかゝつたに、引違ひきちがへて旦那様だんなさまのやうな無口むくちさまへ嫁入よめいつてたはうかいふ一時いちじ間違まちがひでもあらう、この間違まちがひをこのまゝにとほして、甲斐かひのない一生いつしやうおくるは眞實しんじつなさけないことかんがへられ、我身わがみこゝろをためなほさうとはしないでひとごとばかりうらめしくおもはれました。
  そのやうなつまらぬかんがへをつて、つまらぬ仕向しむけをいたしまするつまへ、のやうなけつこうひとなればとて親切しんせつむかはれましやうか、お役所やくしよから退けておかへあそばすに、おむかへこそ規則きそくとほいたしまするけれど、さしむかつては一言ひとことうちとけたおはなしも申上まをしあげず、おこるならおおこりなされ、なに御随意ごずゐいはなをくゝるやうな素振そぶりをしてますに、旦那だんなさまへかねて、ふいとつてうちをば御出おであそばさるゝ、ゆくさきいづれも御神燈ごじんとうしたをくゞるか、待合まちあひ小座敷こざしき、それをば口惜くちをしがつてわたしうらみぬきましたけれどしんところへば、わたし御機嫌ごきげんりやうがわるくて、いへのうちには不愉快ふゆくわいたゝまれないからのおあそび、こんなことをして良人をつと放蕩はうたうあげて仕舞しまふたのです、良人をつと美事みごとうちそとにするといふ道樂者だうらくものつて仕舞しまひました。
  旦那だんなさまだとて金満家きんまんか息子株むすこかぶ藝人げいにんたちに煽動おだてられて、無我むが夢中むちゆうかれつとはことちがふて心底しんそこおもしろくあそんだのではありますまい、いはゞ癇癩かんしやくおさへ、らしといふやうなわけで、御酒ごしゆをめしあがつたからとてこゝろよくくおひになるのではなく、いつもあをざめたかほあそばして、何時いつ額際ひたひぎはあをすぢあらはれてりました。
  ものいふこゑがけんどんであららかで、假初かりそめことにも婢女をんなたちをしかばし、わたしかほをば尻目しりめにおにらあそばして小言こごとおつしやらぬなれどもそのむづかしいことふては、現在いま且那様だんなさま柔和にうわさうとてはすこしもく、おそろしいすごい、にくらしいおかほつき、かたそばわたし憤怒ふんぬさうひかへてるのですから召使めしつかひはたまりません、大方おほかた一月ひとつき二人ふたりづゝは婢女はしたかはりまして、其都度そのつど紛失ふんしつもの出來できますやらしなもの破損はそんなどはおびたゞしいことで、うすれば此様こんなに不人情ふにんじやうものばかり寄合よりあふのか、世間せけん一體いつたい此様このやう不人情ふにんじやうなものか、それともわたし一人ひとりなげかせようといふので、わたしちかものとなるとこと/\”不人情ふにんじやうるのであらうか、みぎいてもひだりいてもたのもしいかほをしてるは一人ひとりい、あゝいやことだとてばちになりまして、ふほどのひと愛想あいそをしようでもなく、旦那様だんなさま御同僚ごどうれうなどがおいでになつた時分じぶん御馳走ごちそうはすべて旦那だんなさまのお指圖さしづいうちは手出てだしをもしたことはなく、座敷ざしきへは婢女をなごばかりしてわたしいたいの頭痛づつうのとつて、おきやく有無あるなしにかゝはらずかつ氣儘きまゝ身持みもちをしてばれましたからとて返事へんじをしようでもない、あれをば他人ひとなんましたか、さだめし山口やまぐち百年ひやくねん不作ふさくだとでもひやうして、つまたるもの風上かざかみへもかれぬをんなはれましてしやう。
  あのころ旦那だんなさまが離縁りえんをやると一言ひとことおつしやつたが最期さいごわたし屹度きつと何事なにごと思慮しりよもなくひまいたゞいて、自分じぶん不都合ふつがふたなげて、此様こん不運ふうんな、なさない、口惜くちをしいてんめておきなさるなら、うでもよろしい、なんとなりあそばしませ、わたしわたしかんがとほりなことして、わるければわるくなれ、萬一まんいちよければそれこそまうものといふやうな無茶むちや苦茶くちや道理だうりけて、今頃いまごろわたしなにつてましたか、おもへばぶるひがます、よくだん那さま旦那様はおもつた離縁りえん沙汰ざたあそばさずに、うもわたしとりめていてくださつた、それはお疳癪かんしやくつのつてなまやさしい離縁りえんなどをおしなさるより何時いつまでもをりなかいてくるしませてやらうといふおかんがへであつたか其處そこわからぬなれども、いまではわたし何事なにごとうらみもい、旦那だんなさまへたいして何事なにごとうらみもい、あのやうにくるしませてくださつたゆゑ今日けふたのしみがたのしいので、わたしがいくらかものわかるやうにつたもあゝいふなかゆゑであらう、それをおもふとわたしため仇敵あだといふひと一人ひとりくて、あの輕忽そゝくさとこましやくれて世間せけんわたしのあらを吹聴ふいちやうしてあるいたといふ小間こまづかひのはやも、口返答くちへんじばかりしてやくたゝずであつた御飯ごはんたきのかつも、みんなわたし恩人おんじんといふてい、いまこのやうに女中じよちゆうばかりあつまつて、此方こち奥様おくさまぐらゐひとづかひのかたいとうそにもよろこんだくちをきかれるは、人達ひとたち不奉公ぶほうこうわたしこゝろ反射はんしやだとさとつたからのこと世間せけんてもなくひとくるしめる悪黨あくたうもなければ、神様かみさまだとて徹頭てつとう徹尾てつびわることひとなげきをせるといふことあそばすまい、何故なぜならば、わたしのやうにまはりはこと/\”心得こゝろえちがひばかりで出來できあがつて、ひとつとして取柄とりえこまものでも、こゝろとしておかしたつみいほどに、これ此様このやう可愛かあいらしいうつくしい、此坊このぼうやをたしかにさづけてくださつたのですもの。
  此坊このぼうやのうまれてようといふ時分じぶん、まだわたし雲霧くもきりにつゝまれぬいてたのです、うまれてからのち容易よういにはれさうにもしなかつたのです、だけれども可愛かあいい、いとしい、といふこと産聲うぶごゑをあげたときから何故なにゆゑとなくにしみて、いろ/\しみもひましやうけれど、そつくりれかゞつてくとでもつたらわたしがうじやうてゝとりついて、此子このこれにもゆびもさゝせぬ、これはわたしものきしめたで御座ござりましやう。
  旦那だんなさまのおもひも、わたしおもひもおなじであるといふこと此子これそもそをしへてれたので、わたし此子これをばきしめて、ぼう父様とうさまものぢやあい、おまへ母様かあさま一人ひとりのだよ、かあさまが何處どこくにしろぼうかならずいてはかない、わたしものわたしのだとてほゝひますとなんともはれぬけるやうな笑顔ゑがほをして、莞爾にこ/\としますやう可愛かあいこと、とても/\旦那様だんなさまのやうな邪慳じやけんかたのおではない、これはわたしひとものだとめてまするに、旦那だんなさまが他處よそからでもおかへりになつて、愉快ゆくわいさうなおかほつきで此子これまくらもとへおすわあそばして、覺束おぼつかないつきに風車かざぐるまてゝせたり、りつゞみなどをつておせなされ、一家いつかうちわれなぐさめるは坊主ぼうず一人ひとりだぞとあのいろくろいおかほをおあそばすと、くかしらおそろしがるかしらとますに、いかにもうれしいかほをして莞爾にこ/\々々とわたしせたとほりのみをせるでは御座ございませぬか、或時あるとき旦那だんなさまは、ひげをひねつておまへ此子このこ可愛かあいいかとおつしやいました、當然あたりまへ御座ございます、とてつんといたしてりますと、それではおまへ可愛かあいいなといつも滑稽おどけおつしやつて、高聲たかごゑ大笑おほわらひをあそばしたそのかほ此子このこおもざしにあらそはれないほどところ御座ございました、わたし此子これ可愛かあいいのですもの、うして旦那様だんなさまにくとほせましやう、わたしくすれば旦那だんなさまもくしてくださります、たとへには三歳児みつご淺瀬あさせひますけれど、わたし一生いつしやうをしへたのはまだものはないあかぼうでした。
 
 ルビ 

  

  
 

速読読書支援ソフト
芥川龍之介の小説をはじめ500冊以上を収録
速読読書支援ソフト
  好評発売中



ビジネスパック60
40種類以上のソフト プラス テンプレート etc・・・・・
とにかく凄いボリューム 490MB
6000円
と言う信じられない価格で好評発売中 

すっきりデスク 起動補助ソフト(無料)
ショートカットの代わりを果たす優れものです。
これ無しでコンピュータを使えないと言わしめたソフトです。
無料ですので一度使ってみて下さい。
ダウンロードはここ
ソフトは全て Windows版です。

  樋口一葉収録作品 (アイウエオ順)
  【ア行】
暁月夜 (1893年) 
あきあはせ (1896年) 
雨の夜 (1895年) 
うつせみ (1895年) 
うもれ木 (1892年) 
うらむらさき (1896年) 
大つごもり (1894年) 
【カ行】
經つくえ (1892年) 
琴の音 (1893年) 
この子 (1896年) 
【サ行】
五月雨 (1892年) 
さをのしづく (1896?年) 
十三夜 (1895年) 
すゞろごと (1896年) 
【タ行】
たけくらべ (1895年) 
たま襷 (1892年) 
月の夜 (1895年) 
【ナ・ハ行】
にごりえ (1895年) 
軒もる月 (1895年) 
花ごもり (1894年) 
反古しらべ (1896年) 
【ヤ・ワ行】
闇櫻 (1892年) 
暗夜 (1894年) 
雪の日 (1893年) 
ゆく雲 (1895年) 
別れ霜 (1892年) 
わかれ道 (1896年) 
われから (1896年)